持続可能な分業体制を構築し、「経営の時間」と「社員の原価意識」を創出!
2026.03.06
福岡県に拠点を置き、約100台もの工作機械と115名の従業員を擁する「切削加工のスペシャリスト集団」、株式会社中島ターレット様。
営業専任部隊を持たず、“対応力”を武器に顧客から選ばれ続けてきた同社にとって、見積回答のスピードは生命線。
にもかかわらず、複雑な計算ロジックを扱えるのは、現会長と社長の2名だけという属人化の課題を抱えていました。
しかし、AI見積システム「匠フォース」を導入した結果、わずか数ヶ月で、かつて社長の仕事を圧迫していた見積業務は、4名のスタッフによってスピーディーに回答可能になり、回答期日遵守率はほぼ100%に。
今回は、持続可能な見積分業体制を構築し、「経営の時間」と「社員の原価意識」を創出した、中島ターレット様の組織変革の軌跡に迫ります。
目次
■ 会社概要
- 社名:株式会社中島ターレット
- 事業内容:工作機械による精密金属部品の賃加工
- 設立:1964年
- 従業員規模:115名
- 保有設備:工作機械 約100台
- URL:https://www.turret.co.jp/
インタビューにご協力いただいた方
- 株式会社中島ターレット様
- 代表取締役社長 中嶋 宏太郎 様
- 社員のみなさま
- 匠技研工業
- カスタマーサクセス 井ノ上 和樹
※本記事の掲載内容はすべて取材時(2025年12月)の情報に基づいています。

西日本有数の生産能力を誇る!100台の機械を操るプロ集団
──(井ノ上)まずは、御社の強みについて教えてください。
中嶋様(代表取締役社長):
一言で言えば「圧倒的なキャパシティと対応力」です。 工作機械は100台弱、従業員も115名おります 。創業から62年培ってきたノウハウがあるので、急な依頼や新しい製品が来ても、すぐに段取りを組んで対応できる「現場力」には絶対の自信があります 。

──(井ノ上)それほどの規模がありながら、見積業務には大きな課題があったと伺いました。
中嶋様(代表取締役社長): はい。実は弊社には営業専任の部隊がいません 。 そのため、既存のお客様からの見積依頼は、すべて私と会長の2人だけで対応していました。
顧客からの痛烈な一言と、経営者が抱え続けた“焦り”
──(井ノ上)100名規模の会社の案件を、経営層の2人だけで対応するのは、大変ではなかったですか?
中嶋様(代表取締役社長): そうなんです。当然、私は経営業務や他の実務も抱えています。 忙しくなると、どうしても見積作成は後回しになってしまう。「やらなきゃいけない」と分かっていても、物理的に手が回らない。その結果、お客様からいただいた期限を過ぎてしまうこともありました。
一番辛かったのは、お客様から「御社は回答がちょっと遅いよね」とチクリと言われることでした。
現場には100台規模の設備と長年のノウハウがある。それなのに、私の見積回答が遅れてしまうことで、お客様から『中島ターレットは遅い』という印象を持たれてしまうのが悔しかった。
「見積は会社の利益や売上に直結する一番大事なものなのに、こんなに疎かにしていていいのか」 。という焦燥感に、常に苛まれていました。
精緻な見積作成ができるシステムを求めて。なぜ他社ではなく、匠フォースを選んだのか
──(井ノ上)「何とかしなければ」という思いの中、匠フォースを知ったきっかけは何だったのでしょうか。

中嶋様(代表取締役社長):
本当に偶然のタイミングでした。 課題意識を持って解決策を探していた矢先に、匠フォースの情報が飛び込んできたんです。そこに書かれていた内容が、まさに私が日々頭を抱えていた「属人化」や「スピード不足」そのものでした 。
──(井ノ上)導入検討の際、他社システムとの比較はされましたか?
中嶋様(代表取締役社長): はい。実際に他社の「AI自動見積システム」の話を聞いて、いくつか比較しました。例えば、「過去の類似図面をAIが判断して、パッと値段が出る」というスピード感が売りのサービスもありました。
──(井ノ上)スピード不足に悩んでいたなら、そちらも魅力的に思えますが。
中嶋様(代表取締役社長):確かに魅力的なのですが、検討を進める中で「これは樹脂加工などの分野で活きる仕組みであって、我々のような金属加工とは少し文化が違うな」と直感したんです 。
私たちのような精密金属部品の世界は、一品一様です。同じような形状に見えても、「ミクロン単位の公差(精度)」や「素材の硬度」が一つ違うだけで、加工工程もコストも激変します。
──(井ノ上)なるほど。「似ているから同じ値段」とはいかないわけですね。
中嶋様(代表取締役社長): そうです。精密な金属加工の世界で、中身がブラックボックスのAIに判断を委ねるのは、正直怖かった。 私たちが求めていたのは、複雑な工程やチャージ(加工費)を一つひとつ積み上げて計算できる、私たちの「現場の理屈」に合ったシステムでした。
──(井ノ上)そこで、匠フォースを選んでくださったのですね。

中嶋様(代表取締役社長):
はい。金属加工特有の、工程を一つひとつ積み上げていく精緻な見積のやり方に、匠フォースなら対応できると感じたんです。 そこからは、細かい要望を詰めるまでもなく、「これにしよう」と決めていました。
シンプルに「使いやすそうだった」こと、そして担当の方の熱意から「ここなら今後もシステムを良くしてくれる」という期待が持てたので、即決でした。
──(井ノ上)匠フォースの導入にあたって、不安はありませんでしたか?
中嶋様(代表取締役社長): 正直に言うと、設立から間もない東大発ベンチャーということで、「これから実績を作っていく段階なのだろうな」という心配はありました 。
ただ、実際に担当の方とお話しする中で、「実績を積み重ねながら、システムをさらにアップデートしていくんだ」という熱意が伝わってきたのが大きかったです 。
実際、導入してみると当時の不安は全くなくなりました。皆さん親切ですし、高キャリアの方ばかりなので、こちらの意図を汲み取ってくれて、話が非常に早いんです。
「1日1時間」の苦闘が、「5分」の承認作業へ
──(井ノ上)導入後、見積業務はどのように変わりましたか?
中嶋様(代表取締役社長): 劇的に変わりました。 以前は、私が図面と睨めっこしながらExcelで過去案件を探し、平均して1日1時間、多い時は3時間〜8時間も費やしていました。それが今では生産管理の担当者2名が、匠フォースを使って最終単価まで算出してくれています 。
私の仕事は、彼らが作った見積をシステム上で確認し、「承認」するだけ。時間は1日5〜10分程度です。1時間が10分になったのですから、業務時間は実質1/6以下ですね 。

──(井ノ上)その空いた時間を、何に使われていますか?
中嶋様(代表取締役社長): 以前のように物事を「バタバタして直感で決める」ことがなくなり、今は落ち着いて判断できるようになりました。 社内の改善策や目の前の課題についてじっくり考えたり、現場に対して「なぜこの金額になるのか」「品質不良がどれだけの損失になるか」を教育したり…。
そうした、組織を強くするための時間を持てるようになったのは、経営者として本当に嬉しい変化です。
また、お客様への回答スピードも格段に上がりました。今では回答期限をほぼ100%遵守できています。「遅い」と指摘されることもなくなり、かつてのネガティブな印象は払拭できたと実感しています。
現場社員に芽生えた「原価意識」
──(井ノ上)業務効率化以外に、組織としての変化はありましたか?
中嶋様(代表取締役社長): 生産管理の担当者が最終単価まで決めるようになったことで、社内に「金額に対する感覚(原価意識)」が自然と養われてきたと感じます。
これまでは、原価計算や単価決定は私や会長がやっていました。しかし、彼らが自ら見積を作るようになったことで、例えば品質不良が起きた時も、「一つ失敗したら、材料費と合わせて4〜5万、高いものだと15万の損失になる」といった具合に、具体的な痛みとして捉えられるようになってきました。
──(井ノ上)まさに、「経営者目線」を持った社員が育ち始めたのですね。
中嶋様(代表取締役社長): そうですね。金額の裏付けを持てたことは、お客様との交渉においても大きな武器になります。
例えば、厳しい公差(精度)の指定があった場合でも、ただ受けるだけでなく「本当にその精度が必要なのか? 過剰品質になっていないか?」という視点を持って、お客様と交渉できるようになりますから。
現場のスタッフが金額の感覚を持って判断できるようになることで、組織としての力がさらに強くなると期待しています。
現場の声が、システムを即座に進化させる

──(井ノ上)実際に日々システムを使われている現場の皆様にも、率直なご感想を伺いたいと思います。
松本様(総務課 生産管理G 主任): 私は出張中でもデータがあれば社内と共有できるので、事務所に戻る前に見積の入力を進めてもらえるようになったのが大きいです。また、見積業務を社員に委譲したことで、社長が新しいお客様を開拓できるようになりました。
豊田様(第2製造課 課長): 現場としては、以前の手書きからデジタル化されて、パソコンで図面が見られるのは非常にいいです。拡大もスムーズですし。
毎日使っているので、「ファイル数が多いと動作が重くなる」といった点は気になりますが 、そうした改善要望も聞いていただいています。
──(井ノ上)現場からの「もっとこうしたい」という要望もあるかと思いますが、その点はいかがですか?
船越様(総務課 生産管理G 係長): 私は承認フローについて要望を出しました。今はシステム上で処理した後に、別途社長にメールを送って承認をもらっているのですが、もう少し簡単にシステム上で完結できるといいですね 。
井ノ上(匠技研工業): 実はその点、新機能ですでに解決できるようになりました。作成中の見積のステータスを変えた瞬間に自動通知が飛び、承認までシステム上で完結できます。 また、豊田様からいただいた動作スピードの件も、現在改善を進めています。
新機能詳細:ステータス変更時の自動メール通知機能
次世代へ技術を繋ぐ「プラットフォーム」へ

──(井ノ上)最後に、今後の展望をお聞かせください。
中嶋様(代表取締役社長): これからは、匠フォースを単なる見積システムとしてだけでなく、図面管理や不具合情報の共有など、「製造現場の情報を一括管理できるプラットフォーム」として活用していきたいです。
例えば、「以前ここで不具合を出して、これだけの損失が出た」という履歴がパッと分かれば、同じ失敗を防ぐことができます。 そうした過去の履歴やベテランのノウハウを、個人の記憶ではなく会社の資産として蓄積していきたいと思っています。
匠技研さんは、他の会社のようにシステム導入後は放置、ではなく、アフターフォローもしっかりしているし、提案もしてくれる。
今後も手厚いサポートに期待してます。
属人化業務を、AI活用で“会社の資産”へ。
編集後記
見積もり業務に関して「以前は気が重かったが、今は彼らが頼もしい」―そう語る中嶋社長の笑顔が印象的でした。システム導入はゴールではなく、人が輝くためのスタートライン。
匠フォースが”組織を強くする武器”となるよう、中島ターレット様の未来をこれからも共に創ってまいります。
カスタマーサクセス部 井ノ上
井ノ上 和樹(いのうえ・かずき)|匠技研工業株式会社 カスタマーサクセス
出身校:東京大学(経済学部)
前職:大手商社(海外営業:東南アジア/オセアニア 担当)
大学では油田掘削における日本企業の海外進出の可能性について研究。
卒業後は大手商社に入社し、数十億円規模の取引や新規事業プロジェクトに参画。
ダイナミックな事業を通して、多様な業務を経験する中で、「会社に守られるのではなく、自分の力で事業を創り出したい」という想いを強め、スタートアップへの転身を決意する。
2024年、匠技研工業に1人目の営業メンバーとしてジョイン。
製造業界に特化した工場経営DXシステム「匠フォース」を通じて、製造現場の業務改善・標準化支援に取り組んでいる。
現場の声に耳を傾け、生の課題に触れることを心情とし、会社のバリューである「現場・現物・現実」の価値観を体現。
製造業界全体を盛り上げ、「日本のものづくりの復権」に貢献することを目指している。