トップ コラム 見積業務を委譲し会社の未来を創る活動にシフト!熱処理の総合デパート・フクネツ様(福岡県)が挑んだ見積DXの軌跡

見積業務を委譲し会社の未来を創る活動にシフト!熱処理の総合デパート・フクネツ様(福岡県)が挑んだ見積DXの軌跡

2026.01.19

見積業務を委譲し会社の未来を創る活動にシフト!熱処理の総合デパート・フクネツ様(福岡県)が挑んだ見積DXの軌跡

福岡県に本社を構え、熱処理から研削加工まで一貫して対応する金属加工会社、株式会社フクネツ様。
創業から半世紀以上にわたり、自動車・産業機械部品など多様な領域のものづくりを支えてきました。

しかし、同社では長年にわたり、見積業務の属人化や、見積基準のバラつきが課題でした。
そうした中、展示会で「匠フォース」を見つけ、システム導入をすぐさま検討。約3ヶ月という短期間で、現場での実装を実現しています。

匠フォース導入後は、順調に見積業務の標準化を進め、年間2,000件を超える見積をデジタルで一元管理する体制を確立しました。

今回は、代表取締役社長をはじめ、現場の中心でDXを支える皆様にお話を伺います。

■ 会社概要

  • 社名:株式会社フクネツ
  • 事業内容:金属熱処理及び機械研削加工及びそれに伴う製品の販売
  • 設立:昭和44年7月21日
  • 従業員規模:111名
  • URL:https://kkfukunetsu.co.jp/

インタビューにご協力いただいた皆様

  • フクネツ様
    • 代表取締役 永島 様
    • 製造部部長 今林 様
    • 管理部部長 高盛 様
    • 営業課課長 吉田 様
  • 匠技研工業
    • カスタマーサクセス 井ノ上

※本記事の掲載内容はすべて取材時(2025年10月)の情報に基づいています。

フクネツ様_匠フォースの導入成果【図解】

「見えない品質」を保証する会社―株式会社フクネツの現在地

株式会社フクネツの成り立ちや事業内容

株式会社フクネツ代表取締役(永島 様)が応接室でインタビューに応じる様子

永島 様(代表取締役社長):
創業当時、金属部品の「熱処理」──つまり機能部品に熱を加えて硬くし、寿命を延ばす仕事を専門にしている会社は、福岡県内にほとんどありませんでした。

そのような時代に現会長が創業し、今年で56年(創立1969年)になります。

お客様のニーズに応える形で、10年目には、後工程(研削・仕上げ)にまで領域を広げ、
今では、材料調達 → 前加工 → 熱処理 → 研削仕上げまでを一貫対応できる体制を築きました。

お客様は北部九州が中心。毎日10台前後の自社トラックを走らせて、製品をお預かりし熱処理や研削を加える仕事と、図面をもとに1から部品を作り上げる仕事の両輪を回しています。

九州トップクラスの「技術者育成力」

ー井ノ上(匠技研工業):フクネツ様では「技術者の育成」にも力を入れているそうですね。

そうですね。特に熱処理は非常にニッチで、“ブラックボックス”なんです。外からは性質が分からない。つまり、硬くなったと言っても、内部の組織は見えない。さらに、製品を真っ赤になるまで温めて、油などで急激に冷やすので変形がおきてしまいます。

私たちはこの変形を予測・制御し、後加工の削り代や加工寸法を含めた“工程設計”を行うことで、仕上がりの精度を担保しています。

こうした”目に見えない品質を保証する”ために一番重要なのは、人材です。
弊社では毎週勉強会を開いて、社員教育に力を入れています。
そうした甲斐もあって、熱処理技能士・機械加工技能士は、九州のサプライヤー企業ではトップクラスの人数(約50名)を抱えるまでになりました。

事業としての強みは、単なる熱処理に留まらず全工程を社内完結できる点。そして、見えない品質の保証を社員とともに積み上げている点です。

熱処理の総合デパートが築く、独自のサプライチェーン

ー井ノ上(匠技研工業):熱処理だけではなく、材料調達から前加工、仕上げの研削仕上げまで一貫する会社は九州では珍しいですよね。

九州では一つの工程だけで成り立つほど仕事量は多くないので、お客様のニーズに合わせて事業領域を拡大してきた結果です。
しかし、それこそが、“熱処理の総合デパート”として、多くのお客様に弊社を選んでいただける所以です。

「バラつく単価」「非効率なデータ管理」「見積依頼の山」が招く経営リスク

強みが生んだジレンマ:全工程一貫体制と見積業務の属人化

ー井ノ上(匠技研工業):一方で御社の強みである「熱処理+全工程」が、難易度の高い見積業務を生み、課題になっていたそうですね。

高盛 様(営業部 部長):
はい、まさに。工程が増えるほど前提条件が相互に影響し、見積の難易度は増していきました。その結果、見積業務は私に集中し、私が休むと仕事が止まる。という危機感に日々追い立てられていました。

何より辛かったのは、出張終わりのオフィスです。なぜなら、机の上にドサっと置かれた見積依頼の山があるから。当時は出張終わりのことを考えると気が重かったです。

今林 様(製造部):
私は、高盛のデスクに積み上がった書類を見て「なんでこんなに見積が残ってんねん!」という製造部視点でのイライラとストレスを募らせていました。

吉田 様(営業部 課長)が匠フォースの導入効果について話し合う様子

吉田 様(営業部 課長):
私も見積業務の課題は感じていて…
特に研削加工の見積は基準が明確でなく、過去の実績を見てもその時々の状況が違うため、価格に大きな”バラつき”が出ていたんです。

「A社はこの単価なのに、B社は高いね」という状況をお客様のためにもなんとか改善したいと思っていました。

また、過去の実績を探すためにキャビネットを開いて、顧客ごとに分けられたファイルを探す必要がありました。過去の案件と照合する過程で、見積に対する時間が想定以上にかかることは日常茶飯事でした。

そんな状況なので、「お客様からお問い合わせの電話をもらっても、すぐに金額を答えられない。」という三重苦でした。さらに、図面に手書きで金額を書き込み、見積回答を行っていたケースもあり、お客様との認識違いも非常に起きやすい状態でした。

「見積システム?なにそれ?」からの衝撃と感動

課題解決への転機:匠フォースとの出会い

今林 様(製造部)が匠フォースの導入効果について話し合う様子


ー井ノ上(匠技研工業):そうした中、匠フォースを知ったきっかけは何だったのでしょうか?

今林 様(製造部):
JIMTOF(日本国際工作機械見本市)です。
その時は、工作機械を探していたのですが、たまたま匠フォースのブースを通りかかって「図面を読み込むだけで見積が出せる」と聞いて、衝撃を受けました。

当時は、”見積をシステム化する”という発想がなかったので、「すごい!!」と同時に「なにそれ?」という、ワクワクで胸がいっぱいになって、
オフィスに帰ったら 「工作機械よりも、すごいもの見つけたぞ!」と興奮が冷めないうちに社内で話したんです。


永島 様(代表取締役社長):
世間ではシステム化、デジタル化が進む一方で、弊社の見積業務や生産管理業務は暗黙知のかたまりであり、担当者が休むと仕事が止まる属人的な状況でした。何とかしなければならないという課題感を持っており、匠フォースの話を聞いた時、今が変わるタイミングだと思ったんです。

属人化が解消できる、担当者が変わっても見積がデータとして残っていく、という点に魅力を感じ、「導入を進めよう」と判断しました。


今林 様(製造部):
そこからはあっという間でした。打ち合わせを重ね、3〜4ヶ月で実装を実現できました。導入コストも現実的だったので、社内提案がしやすい点も良かったです。

年間で166時間短縮!見積価格のバラつき解消と「フクネツ基準」の確立

匠フォースで「スピード×正確性×標準化」を実現【図解】

見積業務の劇的改善 ― 時短・ばらつき解消・ミス削減

ー井ノ上(匠技研工業):実際に導入して、どんな変化がありましたか?

吉田 様(営業部 課長):
まず、見積作成のスピードが圧倒的に上がりました。
PDFを読み込み、寸法や加工条件を入力すると、マスタに設定した単価が反映され、見積計算が瞬時に完了します。
「図面番号さえ分かれば、すぐに見積が出せる」―この快適さは、以前のやり方を知っている人ほど実感できると思います。

また、図面と見積をデータとして紐づけて管理できるようになったことで、膨大なファイルの中から過去案件を探す必要もなくなりました。

さらに、同一図面で複数の顧客に見積を出す場合も、価格が統一できるようになり、スピードと一貫性の両立が実現しました。

次に大きいのは、正確性の向上です。
図面に手書きで金額や処理内容を書き込んでいた頃は、お客様との見積条件の認識違いが起きやすい状態でした。

今は、備考欄に見積の前提条件や注意事項を明確に残せるため、「この内容で合っていましたよね?」と確認する手間が激減しました。

また、私と高盛の間で行っていた見積確認のやりとりも、今では圧倒的に少なくなっています。


高盛 様(営業部 部長):
標準化や効率化も大きく進みました。
特に研削加工の見積は、匠フォース上でロジックを組み込み、明確な見積基準を設定できました。

個数に応じた段取り時間の費用まで自動算出できるようになり、誰が見積を作成しても同じ基準で判断できる環境が整いました。

吉田 様(営業部 課長):
業務効率の向上は言うまでもないですが、私は「図面を読み解く力」がついたのがうれしかったです。

以前は図面を読み解くのに苦労していましたが、今は匠フォース上にマスタ化された見積項目に合わせて寸法などを入力していきます。
その過程で、「この図面、書いてある寸法と、実際は違うな」といった違和感に気づけるようになったんです。
これは、図面を読み解く力、ミスを防ぐ力が自然とついた証拠だと思います。

業務効率化で生まれた時間で「新たな価値創出」

ー井ノ上(匠技研工業):見積件数は2,000件以上と伺っています。仮に1件あたり5分短縮されたとして、年間166時間以上の業務時間が削減できた計算になりますね。空いた時間を何に使えるようになりましたか?

高盛 様(営業部 部長):
吉田さんの成長と、匠フォースが導入されて、業務の標準化が進んだおかげで、私の業務も劇的に変わりました。以前は、出張から戻ると机の上に見積依頼の山があって、正直うんざりしていました。

今はそうしたことが一切なくなって、私は難しい案件の見積や、人にしかできないクリエイティブな仕事にシフトできるようになったんです。

地域と未来をつなぐ―出張授業で伝える「ものづくりの魅力」

ー井ノ上(匠技研工業):実際、会社の「未来を創る活動」に注力できるようになったそうですね

高盛様(営業部 部長):
一番は、「地域への恩返し」と「会社のファンづくり」に力を入れています。地元の学校へ出向いて、熱処理や加工技術の面白さを伝える出張授業を行っているんです。

若い世代に「ものづくりって、実はこんなに奥が深くておもしろいんだよ」と伝えることで、少しでもこの業界に興味を持ってもらえたら嬉しいですね。

見積業務から解放されたことで、地域や会社の未来を創る活動に時間を使えるようになったのは、私にとって本当に嬉しい変化です。

お客様の理解が深まり、適切な期待値の設定が可能に

ー井ノ上(匠技研工業):取引先向けの勉強会も、DXが生んだ嬉しい変化の一つだそうですね。

高盛様(営業部 部長):
そうなんです。匠フォースを導入して業務に余裕ができたことで、お客様向けの熱処理勉強会を定期的に開催できるようになりました。

その結果、お客様自身の理解が深まり、ご発注時、それから納品後のコミュニケーションがとてもスムーズになり、クレームに至るような案件もほとんど無くなりました。

見積段階で「勉強会でおっしゃってましたよね。」と、お客様が納得してくださる。

取引先との信頼関係が作れたのは、まさにDXの副産物だと思います。

成功のカギは“伴走支援”―現場と共に描くDXのカタチ

匠フォース導入:成功のカギ

ー井ノ上(匠技研工業):匠フォースの導入がうまくいった要因は、どこにあると思いますか? 

今林 様(製造部):
打合せの頻度と伴走体制だと思います。
導入初期のころは、週に1〜2回のペースで打合せを重ね、私たちの業務に合わせたカスタマイズを少しずつ進めていただきました。

「1社に対してここまで対応してくれるの?」と、手厚い打ち合わせやカスタマイズ対応に驚いたことを覚えています。

「まずは軽くトライアルして、使いながら改良していく」―そうした柔軟な進め方が、現場には合っていましたね。

現場の声に寄り添いながら一緒に作り上げてくれる会社だったからこそ、“導入して終わり”ではなく、”本当に定着するDXが実現”できたと感じています。

今後の展望と匠フォースへの期待

ー井ノ上(匠技研工業):今後、匠フォースに期待することを教えてください。

永島 様(代表取締役社長):
最終的には、図面を読み込むと瞬時に工程と見積が提案され、注意事項や懸念点も自動で提示される世界。匠フォースに蓄積された知見を土台に、AIが“工程設計の相棒”になってくれる未来を期待しています。



吉田 様(営業部 課長):
私は、注文書と見積の自動ひも付けです。
例えば、「この見積は添付されていますか?」「過去の案件と内容が違います」といったアラートが自動で出れば、抜け漏れを防げるようになります。
受注から実績・原価までのデータが一気通貫でつながることで、意思決定のスピードも精度も格段に高まると感じています。



高盛様(営業部 部長):
匠フォースのおかげで誰でも一定レベルの見積が作れる環境は整いました。
今後の課題は、例外的なケースへの対応をどう仕組み化するかです。
人の経験や判断と、AIの学習を両輪で回すことで、
人とAIが補い合う見積システムを目指していきたいですね。

AI活用で属人化から資産化へ

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編集後記

サービス提供初期からご利用いただいているフクネツ様に、改めて導入時の経緯や導入後の効果などを伺うことができました。今林様がご自身の担当ではない見積業務に課題意識を持たれて、「匠フォース」の導入を推進された点が非常に印象に残りました。高盛様・吉田様はじめご利用者様がより効果を感じていただけるようご支援を続けてまいります。

カスタマーサクセス部  井ノ上

監修者

井ノ上 和樹(いのうえ・かずき)|匠技研工業株式会社 カスタマーサクセス

出身校:東京大学(経済学部)
前職:大手商社(海外営業:東南アジア/オセアニア 担当)

大学では油田掘削における日本企業の海外進出の可能性について研究。
卒業後は大手商社に入社し、数十億円規模の取引や新規事業プロジェクトに参画。
ダイナミックな事業を通して、多様な業務を経験する中で、「会社に守られるのではなく、自分の力で事業を創り出したい」という想いを強め、スタートアップへの転身を決意する。

2024年、匠技研工業に1人目の営業メンバーとしてジョイン。
製造業界に特化した工場経営DXシステム「匠フォース」を通じて、製造現場の業務改善・標準化支援に取り組んでいる。
現場の声に耳を傾け、生の課題に触れることを心情とし、会社のバリューである「現場・現物・現実」の価値観を体現。
製造業界全体を盛り上げ、「日本のものづくりの復権」に貢献することを目指している。

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